コーチ陣コラム

鏑木文隆(かぶらぎ ふみたか/37歳/六段) 
 現在、慶応義塾高等学校・柔道部顧問
 足立学園−日本体育大学卒業



 古賀塾師範を仰せつかっている、鏑木と申します。師範とは名ばかりで、あまり道場に顔を出していない状況の中で、大変僭越ですが、開塾からこの約10ヶ月間の感想と今後の期待を込めた思いを述べさせていただきます。

 現在、私は、高等学校で教鞭をとっておりますので、教育の難しさ、奥深さ、そして大切さは、理解しているつもりです。古賀塾の雰囲気を見ておりますと、コーチ陣は、皆、熱心で謙虚です。「塾生達に指導しながら自分達も学ぼう」という姿勢です。この姿を生で見ている塾生達は、コーチ陣を心底信頼しているようですし、コーチ陣も塾生達には、深い愛情を持って接しております。そしてこの延長線上に「楽しさ・嬉しさ・充実感」が満たされているのではないでしょうか。これらの状況は、私にとりまして大変勉強になります。

 もちろん、単純な「なかよしクラブ」ではありません。稽古中はたびたび厳しい言葉が投げかけられて、時には涙する塾生もいます。でも、塾生達はめげることなく、力の限り稽古しております。「昨今の子供達は厳しい環境には適さない」とも言われることもありますが、古賀塾では、明確な目的・目標を掲げ、その必要性・重要性を諭し、『自ら率先して努力する』ということを実践しているので、少々厳しくとも、くじけずに頑張れるのでしょう。古賀塾長のお言葉の中に『もう一人の自分に負けてはいけない』というものがあります。おそらく誰でも、心の中に「弱い自分」「ずるい自分」が潜んでいることでしょう。稽古が厳しいほど、「弱くてずるい自分」が出てきます。それらに打ち勝つことが極めて重要なことだと思います。人が本来持つべき忍耐力や、謙虚な心、するどい感受性は、「自分に克つ(勝つ)」ということから養われるのではないでしょうか。そしてこの積み重ねが、『最大の努力』であると思っています。誰もが試合で勝てる訳ではありません。結果として勝った、負けたということよりも『最大の努力』をする。つまり、「結果」よりも「過程」が大切である。このことがその人を成長させることになるのだと思います。

 さらに、教育の中で、最も重要であると思われるのに、最近は知育に比べて軽んじられている、徳育。これは、どちらの町道場でもご指導されていることで、いわば柔道の生命線とも言えるところでしょう。しかし、ある年齢に達すると、勝利至上主義に走り、心がなくなる人もいるようです。私は、柔道の実力の向上に道徳心の理解と実践は不可欠であると思っています。つまり、礼儀作法もできない、人に対して思いやりも感じない、その程度の人格に柔道の複雑で繊細な技術は宿らない。せっかくすばらしい技術の指導や話があっても気づかないのではないかと思います。たまたま柔道が少しだけ強くなったとしても、その人から柔道を取ったら何も残らない、では困ります。古賀塾長が稽古前にひとりでもくもくと畳の雑巾がけをしたり、コーチ陣が礼儀作法に関して率先して行動に示し、塾生達の模範となっているところに古賀塾の徳育に関しての意志の強さを感じます。

 古賀塾の未来、塾生達の将来は明るく、無限の可能性を秘めていることと思います。その可能性に向けて、みんなで邁進しましょう!!!

                       古賀塾師範  鏑木 文隆